2013/02/23

02



『ドキュメンタリーの独白部分』


私は警察官である。
この街の平和を守っている。
街は犯罪者だらけだ。
強盗、強姦、放火、轢き逃げ、街に悪事は溢れ、
朝から晩までサイレンが鳴り響いている。
しかし、私は動じない。
何もしない。
だから私は暇だった。

私は総理大臣である。
この国のために働いている。
この国は曾て無い危機に直面している。
隣国との領土問題、エネルギー資源、教育、経済、人種差別、テロル、
切りがないほどの問題を抱え、閣僚達は頭を抱えている。
しかし、私は動じない。
何もしない。
だから私は暇だった。

僕は大学生なのですが、
大学に入って、すぐに彼女ができて、
それは僕が告白をせずに彼女を押し倒したからで、
だから、ちゃんとは告白をしてなくって、
押し倒して、キスをして、おっぱいを触って、下に手を延ばしたところで、
彼女の手が遮りました。
強引に指先を伸ばして下着に触れると、
その下にナプキンがあるのが分かりました。
彼女は、顔を真っ赤にしていていました。
ごめんね、と彼女が言いました。
僕は、申し訳ない気持ちになって、
とりあえず、キスをしたり、おっぱいを触ったりして、寝ました。
股間は膨らんだままでした。
僕のチンチンは暇でした。

私は原子爆弾である。
この世に安全な場所なんて無い。
私が存在する限り、世界は不安で眠れない。
戦争が始まれば、私が世界を真っ白にするだろう。
空も、海も、大地も、一瞬の光で包み込むだろう。
戦争が始まった。
しかし、私は暇だった。

吾輩は猫である。
名前はまだ無い、どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
嘘である。
吾輩には名前がある、どこで生まれたかも覚えている。
子宮の中から記憶がある。
嘘である。
吾輩は猫ではない。
嘘である。
吾輩は天邪鬼なのだ。
忙しいかと聞かれて、忙しいと答えた。
しかし、吾輩は暇だった。

我々は宇宙人だ。
この星を侵略しに来た。
一軒一軒のご家庭のチャイムを鳴らした。
どのご家庭も留守だった。
それから我々は、この星を侵略した。
この星は留守だった。
ヒーローはいなかった。
だから、我々は暇だった。

オレ達はヒーローだ。
この星のヒーローだ。
ところでオレ達は、チャーハンが大好きだ。
オレ達は全員、チャーハンが大好きなヒーローだ。
でも食の好みは様々で、
オレ達のうちの3人はカレーが好きで、
オレ達のうちの2人はラーメンが好きで、
オレ達のうちの1人は炊き込みご飯が大好きだ。
オレ達は食べることが大好きだ。
オレ達は争いを好まない。
そもそもオレ達はヒーロに向いてない。
本当は音楽がやりたかったんだ。
だからオレ達はバンドを組んだ。
学園祭のステージに、オレ達はエントリーした。
目立ちたがり屋のレッドはボーカルをやりたいと言った。
それには、ブルーとグリーンが反対したんだけど、ピンクが賛成した。
「何だよピンク、もしかしてレッドに気があるのかよ?」
「ちょっと、やめてよ、もう、からかわないでよ、男子たち」
「レッドだって、ピンクの前でイイトコ見せたいんだろ?」
「そんなわけねぇだろ、ふざけんなよ」
「あれ?レッドが赤くなってるよ?」
オレ達は喧嘩になった。
でも、オレ達は争いを好まない。
結局バンドは解散。
そのままオレ達は受験生になった。
結局、オレ達に恋人はできなかったけど、オレ達は勉強をしなかった。
青春の真っ只中で、オレ達は暇だった。

私は弱虫である。
街は犯罪者だらけだ。
犯罪者だらけだったが、私は弱虫だったので見逃して貰った。
この国は曾て無い危機に直面している。
危機に直面しているのだが、私は弱虫だったので耳を塞いだ。
彼女は生理中だった。
生理中だったのだが、私は弱虫だったので目を潰した。
戦争が起きた。
私は弱虫だったので生き延びた。
猫が喋った。
私は弱虫だったので無視した。
玄関のチャイムが鳴った。
私は弱虫だったので居留守を使った。
青春時代。
私は弱虫だったので仲間に入れてと言えなかった。


私は警察官である。
私は総理大臣である。
僕は大学生でした。
私は原子爆弾である。
吾輩は猫である。
我々は宇宙人だ。
オレ達はヒーローだ。
私は弱虫である。

私たちは、暇だった。

私は成功者である。
私は呻き声である。
私は天麩羅である。
私は三角形である。

私は想像力である。